近年、愛好者が増えている溶接DIY。もはや老若男女を問わず、気軽にアイアンワークを楽しむ時代となった。そんな現在に至る流れを遡ってみれば、こだわりを貫いたスタッフの姿があった。
「ホームセンターで溶接機は売れない」
そんな定説をお客様目線で覆した
現在では何種類もの溶接機が並び、関連道具や部品類も充実しているジョイフル本田。しかし二十数年前に各種機械類を集めた販売コーナーを作ることになったとき、溶接機に与えられたスペースは、わずか什器1台分にすぎなかった。
また当初は品ぞろえも「これくらいなら一般の方も購入しやすいだろう」と、とにかく低価格であることを優先させたもの。「溶接はプロの仕事だから、溶接機を買うなら専門店。ホームセンターでは売れないだろう」との声もあり、せめて価格はリーズナブルにという方針だった。
そんな状況の中、「本当にホームセンターで溶接機は売れないのか?」と疑ったのが当時、営業企画室のディレクターだった湯沢さん。実は確かに当時から、農家の方をはじめ職人以外にも溶接機を必要としている人たちがいた。そういうお客様には、プロ用の溶接機はオーバースペックで高価。また専門店も敷居が高い。かといって、とにかく安価であればOKというわけでもなかった。彼らは自分の作業に適した機種と、購入しやすい販売店を求めていたのだ。
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溶接機メーカーのスター電器製造と力を合わせ、お客様に喜ばれる売場を作ってきた。同社・金森秀一さんとの思い出話に花が咲く。
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千葉ニュータウン店の溶接関連コーナー。各種溶接機、関連道具、部品類が豊富にそろう。
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以前はケーブル類の単品売りはなかったが、必要性を肌で感じた湯沢さんが商品化
そこで湯沢さんは、お客様の使用シーンを考え、品ぞろえを再検討。同時に、販売員がお客様に詳しく説明できるよう、実際に溶接を行なう商品勉強会を実施し、販売員の商品知識の向上、接客力の強化も行なった。さらには、お客様の要求に応える性能を持ち、なおかつ価格がリーズナブルなオリジナル機種の開発を、メーカーのスター電器製造に依頼するまでに。
「1年間で1000台を仕入れるという契約で製造してもらいました。ジョイフル本田として大きな決断だったのはもちろんですが、関東にしか店舗のないホームセンターを相手に新製品を開発したメーカーもすごいですよね(笑)。当然、周囲から『大丈夫か?』という声が上がりましたが、結果的に1年どころか10カ月で売り切りました」
こうして「ホームセンターで溶接機は売れない」という定説は覆されたが、その後も湯沢さんはお客様の声に熱心に耳を傾け、部品の単品売りを始めたり、コストパフォーマンスの良い製品を独自に中国から輸入したりと変革を続行。結果的に、溶接DIYの普及に大きく寄与することとなるのである。
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