20代後半で初めてアメリカ合衆国に渡り、3年間滞在したことがあります。広大な国土、陽気な人々、それに当時最盛期を迎えていた巨大ショッピングモールの偉容にただただ圧倒されたことを覚えています。行く土地土地で、住民が東洋人の私たち家族と出会うと、口々に ”Enjoy!” と声をかけてくれたのも、とても新鮮で不思議な感覚でした。
あれから四半世紀が過ぎ、日々の暮らしは飛躍的に便利になりました。しかし、なぜか今よりも不便で満ち足りてはいなかった時代を懐かしく感じるのもまた事実です。経済合理性や拡大再生産をひたすら追求してきた資本主義社会が、大きな曲がり角を迎えていることにも深い関係があるのではないでしょうか。
創業の昭和50年、今から半世紀近くも前、「ジョイフル本田」を社名と決めた創業者、本田昌也の奇抜で独創的なアイデアと行動力。これが我々の原点です。誠実で勤勉な仕事ぶりこそ唯一無二としていたはずの世の中で、楽しむこと、共に喜び夢を創っていくことを会社の名前に託しました。
こじんまり小さくまとまってしまうのではなく、はみだしながらも全力で規格外のことを成し遂げる集団、こんな組織をもう一度原点に戻って創っていきます。
そして、これまで出店させていただいた地域の皆様に愛着を持っていただけるくらい「根ざす」ことが、私たちの願いです。人と人とがふれあい、慈しみ、気持ちが安らげる場所。行くとなぜか少しだけ元気が出てくるようなお店。新しいことに日々チャレンジしていきつつ、決してスタート地点の想いは忘れません。ジョイフル本田に、ようこそ!!
【2022年6月期の振り返り】
当事業年度における我が国の経済は、長期化する新型コロナウイルス感染症拡大防止のための緊急事態宣言等が断続的に発出され、外出自粛要請等による経済活動の制限により旅行業や飲食業を中心に厳しい環境が続きました。その後、ワクチン接種が進み、経済活動正常化に向けた動きがみられたものの、ウクライナ情勢の長期化による原油および原材料価格の高騰、さらには米国の金融政策の影響等による急激な円安の進行から物価上昇局面となり、個人消費を取り巻く環境は厳しさを増し、先行き不透明な状況が続いております。
このような経営環境下、当社は「売上高伸長への再挑戦」「マージン改善とコストコントロールの継続」「未来へ向けた積極投資」の3つの重点施策に取り組んでまいりました。
「売上高伸長への再挑戦」においては、「必要必在」へのアクションとして、日用消耗品・雑貨などのオリジナル企画商品の販売強化や「痛快価格商品」のプロモーション強化など地域一番店づくりに積極的に取り組んだほか、「生活提案」へのアクションとしては、動画共有サービスと連動した提案強化等にも取り組みました。また、社員のモチベーション向上を図るため、お客様への有効な提案や販売促進につながる売場づくりを行った社員・チームを表彰する報奨制度を導入いたしました。
「マージン改善とコストコントロールの継続」においては、お客様の潜在的ニーズに訴求することを主眼としたマーチャンダイジングと売場創造を継続的に実行しました。具体的には、ユニークな売場展開に取り組むため、非計画消費を呼び起こす商品の企画・開発や、バイヤーの目利きによる発掘商品を逐次導入するなど、収益体質の継続的改善に努めた結果、「付加価値の源泉」である売上総利益率が継続的に向上しております。また、間接部門の集約、売場の融合による人員適正化、さらにはモバイル端末を使用したペーパーレスや、クラウド決裁等の省力化に加えて、各営業拠点の損益数値を「見える化」し「共有知化」することによって、経営マインドを醸成していき、販管費削減に効果を発揮しました。
「未来へ向けた積極投資」においては、新ストアブランド『JOYHON』の第1号店となる小山駅前店(栃木県小山市)を4月にオープンいたしました。当社初となる居抜き物件
(単独専門店を除く)を再開発した店舗で、かつ駅前への出店となります。
また、デジタルを活用した新たな社内コミュニケーションツールや電子データ保存システム、増改築工事台帳管理システムを導入するなど、IT投資によるインフラ整備を推進いたしました。
これらの施策に取り組んでまいりました結果、当事業年度の売上高は、1,235億55百万円(前事業年度は1,324億99百万円)となり、営業利益は122億38百万円(前事業年度は115億6百万円)、経常利益は132億24百万円(前事業年度は127億73百万円)、当期純利益は土地の売却に伴う固定資産売却益(特別利益)の計上と、当該土地の過年度減損損失に対応する税金費用の減少等により110億98百万円(前事業年度は89億85百万円)となりました。
①「住まい」に関する分野
輸入木材の価格高騰により販売単価が大きく上昇するなか、先行仕入調達と安定供給に努めたことなどにより合板など木材の主要商品の売上高が増加いたしました。また、新規ブランド商品の導入などによりファン付き作業服等の売上高が増加したほか、墜落制止用器具に関する法改正に伴う買い替え需要による売上高が増加いたしました。このほか、株式会社円谷プロダクションとのアライアンス企画「期間限定 POP-UPストア」を9店舗で展開したことから、ホビー・クラフト関連の売上高が増加いたしました。さらに、消費者のライフスタイルの変化に伴う需要の取り込みにより観葉植物やリモートワーク関連商品の売上高が増加したほか、プロモーション強化に取り組んだ充電工具類の売上高が増加いたしました。
一方、お盆時期など繁忙期における長雨や冬期の気温低下の遅れ、降雪などの気象変化が集客および季節商品の売上高に影響いたしました。また、前事業年度において、特別定額給付金の支給、台風対策、在宅および感染症対策等により生じた需要が一巡し、電動工具や発電機、家具・プラスチック収納製品等の売上高が減少いたしました。このほか、コロナ禍による海外の生産拠点操業停止等に伴う商品供給の遅れにより半導体を使用したリフォーム関連商品の売上高が減少いたしました。
以上の結果、当事業年度における「住まい」に関する分野の売上高は、712億13百万円(前事業年度は772億3百万円)となりました。
②「生活」に関する分野
新規ブランド商品の導入や、売場レイアウトの見直し等の販売促進の効果もあり、プレミアムフードなどペット関連商品の売上高が増加いたしました。また、1ランク上の商品の品揃え・アピール強化やトレンドの食品類の導入・販売強化により、米・加工食品類の売上高が増加いたしました。
一方、夏の行楽時期における天候不順が飲料や行楽用品等の売上高に影響したほか、感染症対策、内食・除菌に対する需要が一服し、衛生用品、一般調理器具などの売上高が減少いたしました。また、まとめ買い需要が収束した衣料用洗剤や、レジ袋有料化に伴い前年に需要が生じたエコバッグ等の売上高が減少いたしました。
以上の結果、当事業年度における「生活」に関する分野の売上高は、523億41百万円(前事業年度は552億96百万円)となりました。
2023年6月期業績は、売上高1,300億円(前事業年度比5.2%増)、営業利益118億円(同比3.6%増)、経常利益124億円(同比6.2%増)、当期純利益86億円(同比22.5%減)と見込んでおります。